サムスン電子(005930)の株価回復を支えるのは、AI向けメモリの販売拡大と大型の株主還元です。ただし、営業利益が約19倍になっても、株価が高値を取り戻すとは限りません。2026年9月14日終値は24万9,000ウォンで、6月高値から33.5%下落しています。
7月30日の確定決算と8月21日の還元発表を踏まえ、利益の持続性、目標株価の読み方、日本からの購入方法を整理します。情報の確認日は9月15日、株価の基準日は前営業日の9月14日です。
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サムスン電子の株価推移|高値から33.5%下落した現在地

サムスン電子株は、メモリ需要の拡大を織り込んで急騰した後、大きく値を下げています。年初からの上昇と、6月高値からの下落は両立しています。現在の株価を過去の高値だけと比較せず、業績に対する評価も確認します。
9月14日終値は24万9,000ウォン、高値回復には50.4%高が必要
9月14日の終値は24万9,000ウォンで、前営業日比4.05%安でした。6月19日の取引時間中高値37万4,500ウォンからは33.5%下落しています。同じ高値に戻るためには、現在値から約50.4%の上昇が必要です。
下落率と回復に必要な上昇率は一致しません。チャートでも、6月の高値と9月の価格には大きな距離があります。以前に付けた高値は過去の取引実績であり、今後そこまで戻る根拠にはなりません。

年初来では約107.7%上昇、長期の安値とは距離がある
2025年末の終値11万9,900ウォンと比べると、9月14日終値は約107.7%高です。2026年の取引時間中安値は1月2日の12万200ウォンでした。高値から3割以上下がっても、年初の約2倍という価格水準にあります。
さらに長い期間では、2024年11月に5万ウォンを下回る水準まで売られた後、2026年に37万ウォン台へ上昇しました。この値幅は、メモリ企業の評価が市況とともに大きく変わる例です。「大きく下がった」という印象だけでは購入価格を決められません。
実績PERは参考値で約11.0倍、会社予想PERは算出できない
直近4四半期の普通株EPSを合計すると2万2,683ウォンで、9月14日終値を割った実績PERは約11.0倍です。四半期ごとの株数の違いを含む参考計算で、会社予想ではありません。通期EPSの会社予想がないため、会社予想PERは算出できません。
メモリ価格の上昇で利益が膨らむと、PERは低く見えやすくなります。現在の利益を長く維持できなければ、倍率の低さが買いの根拠になるとは限りません。予想配当利回りも、特別配当を含む年間の1株配当が確定する前に決めつけないようにしましょう。
普通株の時価総額は約1,456兆ウォン、参考PBRは約2.89倍
6月末の普通株発行済み株数と9月14日終値を掛けた時価総額は、約1,456兆ウォンです。優先株の時価総額は含みません。6月末の親会社帰属持分を、自己株式を除く普通株・優先株の合計で割った参考BPSは約8万6,052ウォンです。
普通株の株価をこのBPSで割ると、参考PBRは約2.89倍になります。株価は9月、純資産と株数は6月末の組み合わせです。大型配当や自己株式の取得で純資産と株数が動くため、この値を9月末決算のPBRと取り違えないでください。
最新決算は営業利益約19倍|半導体に利益が集中する理由

2026年4〜6月期は、売上高と営業利益が四半期最高を更新しました。ただし、全事業がそろって高収益になったわけではありません。確定した連結業績と部門別の採算を分けると、今後の株価を動かす収益源が見えてきます。
4〜6月期の営業利益は89.5兆ウォン、利益率52.2%
7月30日発表の確定決算では、売上高は171.5兆ウォン、営業利益は89.5兆ウォンでした。売上高は前年同期比約130%増、営業利益は約19倍です。営業利益率は52.2%に上昇し、前四半期の42.8%を上回りました。
親会社株主に帰属する純利益は約71.3兆ウォンです。7月7日の暫定発表にあった営業利益89.4兆ウォンではなく、以下は確定値で比較しています。連結営業利益と純利益を混ぜずに読んでください。

半導体DS部門は89.2兆ウォンの営業利益
半導体を担うDS部門の売上高は127.5兆ウォン、営業利益は89.2兆ウォンでした。連結営業利益89.5兆ウォンとの比率は約99.7%です。全社の利益のほぼ全額を半導体部門が稼いだ計算になります。
ただし、DSにはメモリ以外の事業も含まれます。この利益をすべてHBMの利益として扱うのは不適切です。HBM、汎用DRAM、NANDなどの製品構成と、半導体製造受託の採算を分けて追う必要があります。

HBM4は販売拡大、HBM4Eはサンプル出荷の段階
HBMは、AIの計算に使う大量のデータを高速でやり取りする積層型のDRAMです。サムスン電子は4〜6月期にHBM4の販売を拡大し、次世代のHBM4Eでは主要顧客向けの初期サンプル出荷を進めました。
HBM4の販売拡大と、HBM4Eのサンプル出荷は異なる進捗です。サンプルを出しただけでは、量産の数量や売上は決まりません。半導体関連銘柄を比べる際も、開発発表、顧客による評価、量産、利益への貢献を区別すると、期待だけで株価を追いかけにくくなります。
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汎用DRAMとNANDの値上がりも増益を支える
4〜6月期のメモリ売上高は120.8兆ウォンで、前年同期比約471%増でした。会社はDRAMとNANDの販売量が過去最高になったと説明しています。増益の理由はHBMだけでなく、販売量の増加とメモリ価格の上昇にもあります。
AIサーバーでは作業用のDRAMに加え、データを保存するSSDも使います。NANDとSSDを主力とするキオクシアと比較すれば、同じAI需要でも収益への伝わり方が違うと分かります。製品の違いを無視して、他社の成長率をそのまま当てはめるのは避けたいところです。
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スマートフォンなどのDX部門は0.8兆ウォンの赤字
スマートフォン、テレビ、家電などを含むDX部門は、売上高48.0兆ウォンに対して営業損失0.8兆ウォンでした。その内数であるMX・ネットワーク事業も0.7兆ウォンの営業赤字です。売上の規模が大きくても、半導体以外が利益を補完できているとは限りません。
メモリ価格の上昇は半導体事業には追い風ですが、端末側では部材コストの負担になります。今後は高価格帯スマートフォンの販売だけでなく、DX部門が黒字へ戻れるかも確認したいところです。事業の多さだけで収益が安定すると考えるのは危険です。
今後の株価回復はメモリの利益率と大型還元の具体化が鍵

サムスン電子にはAI向け需要と潤沢な資金があります。基本的には、半導体の高収益が続き、還元内容が具体化すれば株価回復を支えます。一方、価格上昇の鈍化や配当への期待外れが起きれば、好決算後も売られる可能性があります。
好決算でも下落するのは、過去の利益と将来の評価が違うため
7月7日の暫定決算発表日は、前日の終値31万8,000ウォンから29万6,000ウォンへ約6.9%下落しました。8月21日の大型還元発表後も、翌営業日の24日は8.7%安でした。好材料の公表だけで買いが続くわけではありません。
株価には将来の成長や還元への期待が先に入ります。実際の発表が期待に届かなかったり、利益のピークを警戒されたりすると、利益確定の売りが出やすくなります。ただし、日々の下落理由を1つのニュースだけで断定するのは無理があります。
2026年の株主還元見込みは90〜110兆ウォン
8月21日、会社は2026年の株主還元を90〜110兆ウォンと見込む計画を発表しました。7〜9月期分については、通常配当を含めて約30兆ウォンの現金配当を予定し、詳細を10月の取締役会で決める方針です。
90〜110兆ウォンは全額が現金配当ではありません。残りの還元は2026年の業績確定後、2027年1月の取締役会で決め、配当や自社株買い・消却を含む計画です。年間の金額には幅があるため、上限額を確定配当として利回りに換算するのは不適切です。
15兆ウォンの自社株買いは従業員報酬向け
同じ8月21日の発表には、約15兆ウォンの自己株式取得も含まれます。ただし、目的は従業員報酬です。全株を消却するための買い戻しと、従業員へ渡すための取得は、1株価値への効果が異なります。
市場での買い付けは需給を支え得ますが、その後の交付によって市場に出回る株数が増える可能性があります。消却なら発行済み株数自体が減ります。買い付けの金額だけを見ず、取得した株式の使途と、実施・終了の開示まで追うと還元の効果を誤解しにくくなります。
目標株価より先に、メモリ価格と営業利益率の持続を確かめる
目標株価は将来の利益と評価倍率を置いた予想であり、会社が到達を約束する価格ではありません。サムスン電子で優先したいのは、4〜6月期に52.2%だった営業利益率をどこまで維持できるかです。次の決算では、メモリの単価、販売量、利益率の変化を確認します。
会社は下期もサーバー用DRAM、企業向けSSD、HBMの需要拡大を見込んでいます。データセンター投資が続けば販売を支えますが、顧客の発注調整や競合の増産で単価が下がれば利益は縮み得ます。需要側の設備投資と供給側の増産を合わせて見る必要があります。
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買いを考えるなら、半導体の利益と還元後の資金余力を確認
6月末のネットキャッシュは約167.6兆ウォンでした。手元資金から借入金などを差し引いた額で、半導体の設備投資を支える余力があります。ただし、6月末の残高は大型還元後の資金残高ではありません。
買いを考える条件は、メモリの高収益が続き、還元と設備投資を賄える現金が積み上がると考えられるかです。反対に、利益率の急低下や現金流出が続けば慎重に見たいところです。高値回復や特別配当だけを期待して、生活費まで投じるような買い方には向きません。
サムスン電子株の買い方|SBI証券で1株から購入できる

日本からの購入方法と、円で受け取る損益も確認しておきましょう。韓国株では株価だけでなく、ウォンと円の為替が利益を左右します。普通株と優先株の違い、決済方法、配当の扱いを理解してから注文を入れたいところです。
普通株は005930、優先株は005935
韓国取引所に上場するサムスン電子の普通株は005930、優先株は005935です。本記事の株価とチャートは普通株を対象にしています。優先株は別の価格で売買されるため、コードを取り違えないでください。
普通株には議決権があり、優先株は議決権がない代わりに配当上の優遇があります。優先株だから元本が守られるという意味ではありません。過去の株価を読む際は、2018年5月の50分割も区別します。本記事で扱う直近5年間は、その分割後の価格水準でそろえています。
SBI証券ではWEB注文・円貨決済・NISAに対応
SBI証券では韓国株を1株からWEBで注文でき、円貨決済やNISA預りの買い付けにも対応しています。外国株式の取引メニューで銘柄名か005930を検索し、数量、価格、預り区分、決済通貨を指定する流れです。
1株24万9,000ウォンなら、1ウォン=0.1円と仮定した代金は2万4,900円です。この円換算は計算例で、現在の為替相場を示すものではありません。売買手数料や為替コストは別途必要です。注文画面の概算受渡金額と、口座区分を確認して発注しましょう。
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株価が10%上がっても、ウォン安で円の利益は減る
円で見た運用成果には、ウォン建ての株価変動と為替変動の両方が影響します。例えば株価が10%上がっても、1ウォン当たりの円の価値が0.105円から0.095円へ下がると、円換算の収益率は約マイナス0.5%です。
ウォン建てで利益が出ても、円に戻すと損失になる場合があります。この計算は配当、税金、売買手数料などを含みません。韓国株の指数商品を買う場合も、サムスン電子1社の値動きとは一致しません。保有する商品の投資対象と通貨を確かめる必要があります。
配当は四半期ごと、英語の決算資料も公開されている
サムスン電子は四半期配当を実施しています。2026年4〜6月期の配当は普通株・優先株ともに1株374ウォンでした。ただし、大型還元の発表があるため、これを4倍した額を年間の確定配当とするのは不適切です。
配当の受取額は税金や為替でも変わります。NISAでも外国で課される税金まで一律に非課税になるわけではありません。また、公式IRには英語の決算説明資料と財務諸表があります。翻訳記事だけに頼らず、次の配当額や半導体の利益率を公式の開示で確認できます。
まとめ|サムスン電子は増益の持続と還元内容を見て評価する

サムスン電子の9月14日終値は24万9,000ウォンで、6月高値から33.5%下落しました。4〜6月期の営業利益は89.5兆ウォンと約19倍に増えています。
株価回復を支えるのは、メモリの高収益の持続と、90〜110兆ウォンの還元計画の具体化です。一方、全社利益は半導体に集中しています。
次の決算では販売単価と営業利益率、10月には配当の詳細を確認したいところです。高値からの下落幅や目標株価だけで買いを決めず、円換算の損益と資金配分も考えましょう。

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執筆者情報
金融ライター
2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。

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